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サッカー四大リーグの特徴とレベル、CL・ELの仕組みの基本を徹底解説【2017年版】

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日本代表選手が何人も海外リーグで活躍する時代になり、海外リーグへの興味は高まる一方だ。しかし、海外リーグといってもいっぱいあって何がなんだかよく分からないという人も多い。そこで、今回の記事ではそうした初心者の方向けに、サッカー欧州四大リーグの特徴やレベル、仕組みについて徹底解説する。

 

 

四大リーグ、CL・ELとは?(概要)

四大リーグ(概要)

まず前提として、サッカーにおいてはヨーロッパが中心である。確かに、ワールドカップではブラジルやアルゼンチンといった南米の国も、ヨーロッパの強豪に負けないくらい強い。しかし、お金が最重要の要素を占めるプロのクラブチームにおいては、資金力のあるヨーロッパが強いのだ。

四大リーグとは、そんなヨーロッパの中でも人気・実力の面で抜きん出ている4つのリーグを指す。すなわち、

  • リーガ・エスパニョーラ(スペイン)
  • ブンデスリーガ(ドイツ)
  • プレミアリーグ(イングランド)
  • セリエA(イタリア)

の4つのリーグである。オランダやフランスといった国はワールドカップではお馴染みの強豪だが、クラブチームのレベルではこれら4リーグと比べて一段落ちる。この一番の要因としては資金力が挙げられる。オランダは国の規模が小さく、資金力に劣る。フランスは意外とサッカー人気がない(人気スポーツランキングでサッカーは日本では3位、フランスでは6位)ため、こちらも資金集めに苦労している。ただし最近では、フランスのPSG(パリ・サンジェルマン)が石油系のオーナーをバックに潤沢な資金力を得て世界中のタレントを買い漁り、爆発的に力をつけている。

リーグ戦なので仕組みは基本的にJリーグと一緒で、毎週土日に試合が開催され、1年かけてホーム&アウェイの総当り戦が行われる。たとえばブンデスリーガには18チームが在籍しており、それぞれのチームが自チーム以外の17チームとホーム&アウェイで戦うため、17x2=34試合を年間で戦うことになる。Jリーグは毎年早春(3月初め)~晩秋(11月下旬)にかけて行われる一方、海外リーグは毎年9月から翌5月にかけて行われるという違いがある。 

かつては「三大リーグ」と呼ばれていた

2010年頃まではプレミアリーグ、セリエA、リーガ・エスパニョーラを合わせて「三大リーグ」と呼び、ブンデスリーガはこれらに続く第四のリーグと目されていた。しかし、世界的な不況の中では堅実な経営を続けてきたブンデスリーガが力を増すこととなり、一気にブンデスリーガの時代が到来し始めている

 

CL・EL(概要)

CLはチャンピオンズ・リーグ、ELはヨーロッパリーグのこと。前年の欧州各国のリーグ戦で上位を獲得した数チームだけが集まって行われる、クラブレベルでのヨーロッパ最強決定戦。CLが上位の大会で、ELはCLに出られなかったチームが出場する下位の大会。

CLはまさに夢のような大会であり、その年の世界最強のクラブチームを決める最も栄誉ある大会となっている。

※CL・ELについてのより詳細な仕組みの説明はページ下部に記載

 

リーガ・エスパニョーラ(スペイン)

略称:リーガ  スペインなので、英語のリーグ(league)ではなくスペイン語のligaから。スペインではラ・リーガ(La Liga)と呼ばれる。英語でいうとThe Leagueといった意味。

特徴

圧倒的な人気と資金力を背景に世界中から才能をかき集めるバルセロナ(バルサ)とレアル・マドリードの2チームが牽引するリーグ。この2強は毎年チャンピオンズ・リーグでも決勝辺りまで絡んでくる、世界最高のクラブ。それゆえリーグの優勝争いはほぼこの2強に絞られており、リーグ戦の結果占いはつまらないといえばつまらない。近年はアトレティコ・マドリードの躍進が著しく、2013-2014シーズンは10年ぶりに2強であるバルサとレアル以外のチームがリーグ優勝を果たした。これら3チームのCL(チャンピオンズ・リーグ)での活躍に加え、中位チームがしっかりとEL(ヨーロッパ・リーグ)で活躍しており、近年のリーガ・エスパニョーラは世界最高のリーグと目されている。

ヨーロッパ全体の視点で見ても、バルセロナとレアルマドリードは最強と見られている。2017年の欧州のクラブシーンは、リーガ・エスパニョーラのバルセロナとレアルマドリードの2強の存在感が大きく、それに続いてブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘン、セリエAのユベントスとナポリ、プレミアリーグのマンチェスター・シティ、そしてリーガ・エスパニョーラのアトレティコ・マドリードがこれに続くクラブと目されている。

攻撃的な戦術をとるクラブが多く、FWの得点数がインフレする傾向にある。特に、メッシが2011-2012シーズンに打ち立てたリーグ37試合50ゴールの金字塔は、もう二度と更新されることはないのではないかと思われるほどの大記録だ。

どちらかといえばフィジカル(身体的強さ)よりもテクニック重視の傾向にあり、試合は華麗で楽しく観られるものが多い。メッシやイニエスタに代表されるように、小柄な選手でも活躍できる風潮がある。下部組織のスカウティングと育成がしっかりとしており、特にバルセロナは継続して下部組織(カンテラ)から世界最高の才能を輩出し続けている。現在日本のU-15代表、U-20代表で活躍する久保建英くんがバルセロナの下部組織に所属していたことも有名。

経営面は国の状況に並行して不健全で、3年前に「余命5年」を宣告した記事まである。

「余命5年」 “ 死”に近づくリーガ・エスパニョーラ | フットボールチャンネル | サッカー情報満載!

1部20クラブの負債総額は36億ユーロとなっていますが、その額は日増しに上昇しています

 

日本人選手

かつては城彰二、大久保嘉人、中村俊輔、家長昭博、指宿洋史、ハーフナー・マイクといった日本を代表する才能をもった選手たちがリーガ・エスパニョーラに在籍したが、誰も成功することはできなかった。

2017年12月現在は、乾貴士がエイバルに、柴崎岳がヘタフェに在籍し、奮闘している。乾は2015/16シーズンは全試合の半分程度の出場にとどまった。2016/17シーズンは、初めの頃こそ出場機会が限られていたものの、2016年10月22日の第9節に出場して以来、監督とファンの信頼を得て、ほぼ毎試合先発出場して活躍している。

柴崎岳は、前年終了間際からスペインに移り、着々と実力は認められつつあるものの、体調不良や怪我の影響で、まだ継続的な活躍はできていない。

乾・柴崎両者ともテクニカルでリーグの特徴にあった選手なので、より一層の活躍が期待されている。

 

注目選手

何と言っても、メッシとクリスティアーノ・ロナウドという世界最高の2人。そのほかにも人気・実力ともに超一流の選手たちが2強のバルセロナとレアルマドリードに流れ込んでいる。

FW以外でも、レアル・マドリードのモドリッチ等、涼しい顔で超絶テクニックを見せるテクニシャンが多い。

バルセロナとレアル・マドリードはリーグ戦で必ず年2回、その他カップ戦やチャンピオンズリーグでもたびたび対戦するのだが、この試合はエル・クラシコまたはクラシコと呼ばれ、そのシーズンの世界最高峰の試合となる。圧倒的なテクニック、優勝争いを決定づけることになるライバル同士の直接対決といったサッカーの髄が観られる試合である。

 

 

ブンデスリーガ(ドイツ)

略称:ブンデス

特徴

世界一の観客動員数健全な経営により、急激に実力と名声を伸ばしてきているリーグ。かつてはブンデスリーガは「三大リーグ」に次ぐ第四のリーグと言われていたが、近年はバイエルン・ミュンヘンとドルトムントの活躍により、そうした印象はすっかりなくなり、「四大リーグ」という言葉が定着した。

現に、2017年3月17日発表のUEFAカントリー・ランキングでは、リーガ・エスパニョーラに次いで2位につけている(そのあとは3位イングランド、4位イタリア、5位フランス、6位ロシア、7位ポルトガルと続く)。

ブンデスリーガは世界最高の身長を誇るゲルマン系民族を中心に選手が在籍するので、全体的に大柄な選手が多い。一般的に、大柄な選手は空中戦に強い一方で足元のテクニックや一瞬のスピードに欠けることが多いので、小柄な日本人選手がその弱みをついて活躍しやすいリーグとなっている。また、真面目な民族性も日本人にあっているようで、「日本の有望な選手はとりあえずドイツに移籍する」という定番の流れが出来つつある。

ブンデスリーガは「バイエルン・ミュンヘン一強」というイメージがあり、ドイツ人であればバイエルンに所属して活躍することは憧れとなっている。そのブランド力と資金力のため、たまにドルトムントやヴォルフスブルクといったチームがリーグ優勝することはあっても、そうしたチームの有力選手をバイエルンがかっさらってしまい、翌年にはバイエルン一強に戻っていることが多い。

 

日本人選手

上で紹介した特徴から、非常に多くの日本人選手が今までブンデスリーガに在籍してきた。

ドイツ・ブンデスリーガに所属する日本人サッカー選手一覧 - Wikipedia

2017年12月現在、ブンデスリーガに所属している日本人選手は香川真司、内田篤人(ケガによる長期離脱を経て、現在2部ウニオン・ベルリン所属。調子が戻りきらず、古巣鹿島への復帰が噂されている)、長谷部誠、大迫勇也、武藤嘉紀、酒井高徳、原口元気、浅野拓磨、鎌田大地。それから2部には宮市亮、宇佐美貴史、関根貴大等。ほとんどそのままで日本代表になりそうなメンバーだ。この中でも香川真司はブンデスリーガ屈指の名選手に数えられるほどの活躍を見せており、2010/11シーズン、2011/12シーズンのドルトムントのブンデスリーガ連覇の中心選手として躍動した。また、長谷部誠はドイツ経験が長く安定した戦力に数えられており、原口元気、大迫勇也も得点数は伸びないながら、まずまずの活躍を見せている。武藤嘉紀もケガさえなければチームの柱として活躍している。

宇佐美貴史は若干20歳のときにバイエルン・ミュンヘンに所属し、CL決勝の舞台にベンチ入りしたものの、出場機会はなくチームもPK戦の末に敗れている。

ブンデスリーガに日本人GKがいないのが残念なところだが、もし日本人GKがドイツに移籍したあかつきには、ぜひブンデスリーガ所属日本選手vs.ブンデスリーガ選抜で親善試合が行われて欲しいと思う。

 

注目選手

バイエルン・ミュンヘンには世界最高の才能が集まっている。特に、GKのマヌエル・ノイアーは近年最高のGKとの呼び声が高く、GKなのにドリブルで相手選手を抜いたり、ハーフウェイラインを越えるような弾丸のスローイングを見せたりといった魅せるプレーも多い。

香川真司の所属するドルトムントには、毎年のように若い選手が補強されてきて、しかも抜群の活躍を見せてバイエルンやバルセロナ、あるいはマンチェスター・シティやユナイテッドといった超一流クラブへと巣立っていく。

 

 

プレミアリーグ(イングランド)

略称:プレミア 

特徴

上位から下位チームまで「弱い」チームがなく、毎試合盛り上がることから世界最高のリーグというイメージが強いプレミアリーグ。その要因はメディア戦略の成功であり、2000年代から放映権料の収益で他国を突き放し、その収益の分配によって下位チームも戦力補強ができるシステムが作られていた。しかし、他国より過剰な過密日程の影響もあってか近年は強豪が強豪らしい結果を残せておらず、ヨーロッパにおけるプレゼンスには陰りが見えている。

プレミアリーグには「ビッグ4」と呼ばれるクラブが存在する。チェルシー、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、リヴァプールだ。これらのクラブは伝統的に人気・実力が抜きん出ており、世界的に見ても熱心なファンが多い。日本でも、昔から熱心に海外サッカーを見ている人の多くはこの4クラブのどれかのファンであるという印象がある。

近年はビッグ4が実力的に他のチームを圧倒するというわけではなくなってきている。現に、2015/2016シーズンの上位3チームであるレスター、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティはいずれもビッグ4には数えられていないクラブだ。

 

日本人選手

かつては稲本潤一、川口能活、中田英寿、宮市亮、李忠成、香川真司といった名だたる名選手がプレミアリーグに所属してきたが、いずれも納得のいく活躍ができたとはいえない。香川真司はマンチェスター・Uで一定数の試合に出場したが、ドルトムント時代ほどの輝きは見せられず調子を落とし、移籍は失敗だった(少なくとも成功ではなかった)と言われている。

現在は吉田麻也(サウザンプトン)と岡崎慎司(レスター)の2選手がプレミアリーグに所属している。吉田麻也は不動のレギュラーではないが、忘れ去られもせず、まずまずの活躍をしている。DFが海外リーグでレギュラーをとるのは特に難しいとされる中で、プレミアリーグで継続的に試合に出ているのはそれだけで快挙と言っていい。2016/17シーズン吉田麻也は躍動し、カップ戦での決勝進出の立役者と言われるほどの大活躍を見せた。

岡崎慎司は、なんといっても移籍初シーズンとなった2015/16シーズンのレスターの奇跡のプレミア優勝が話題となった。この優勝を牽引したのはヴァーディ、マフレズ、カンテといった選手たちであり、岡崎慎司は「いないと困る」という存在にはなりきれなかった(それでもほぼレギュラー扱いだったが)。2015/16シーズンのレスターの動向については以下の記事に詳しくまとめたので見て頂きたい。

 

注目選手

残念ながらいまのプレミアリーグには、見逃すことの出来ない世界最高の才能は存在しない。 世界最高の才能は、プレミアで現れてもそこからリーガ・エスパニョーラのバルセロナかレアル・マドリードへと「ステップアップ」する流れが出来てきているからだ。逆に、バルセロナやレアル・マドリードで控え選手としてくすぶっている選手をプレミアリーグのマンチェスター・シティやマンチェスター・ユナイテッドといった金満クラブが買い取る流れも存在する。これらのことから、移籍構造的にはプレミアトップのチームはバルセロナやレアルマドリードの下位に甘んじていることが分かる。

今、注目の選手では、やはりレスターの快進撃に貢献してチェルシーに移籍し、「地球の三割は彼がカバーしている」と言われるカンテや、アーセナルに所属するパス・アシストの天才メスト・エジル。それに、マンチェスター・ユナイテッドからは、将来のバロンドール候補ポール・ポグバと、年齢を重ねるにつれ輝きを増す王様イブラヒモビッチ、そしてトッテナムで獅子奮迅の活躍をする若きスコアラーのハリー・ケインらがいる。

 

 

セリエA(イタリア)

読み方:セリエアー  イタリア語なので「セリエアー」と読まれる。間違っても「セリエエー」と読まないように注意したい。

特徴

セリエAは、1990年代には世界最高のリーグだった。この頃はユヴェントス・ミラン・インテルのビッグ3が欧州サッカー界の中心に君臨していた。そのため、日本代表の本田圭佑も小学生時代の卒業文集で「セリエAに移籍すること」を夢に挙げていた。(ご存知のとおり、後に本田圭佑はミランに移籍してこの夢を叶えている)

2010年代に入り、ユヴェントス以外の2チームのミランとインテルは没落してしまい、セリエA全体としてもかつてほどの人気や実力が保てていない状態にある。2013年頃は最悪で、セリエAを外して残りの3リーグで「三大リーグ」と呼ぶのがふさわしいのではないか、とさえ囁かれていた。2014/15シーズンのユヴェントスのCL決勝進出によりそうした声はかき消されたが、依然として四大リーグの中ではやや劣ると見られている。

1950年代・60年代はカテナチオと呼ばれる堅い守備からカウンターを狙う戦術が流行した。これがイタリアサッカーの伝統として残り、今もイタリアサッカーといえば「堅い守備」「ウノ・ゼロ(1-0)の美学」と表現されることが多い。一方、現代に目を転じると、2014/15シーズンにユヴェントスが稀代のMFピルロを中心に攻撃的なサッカーを繰り広げ、CL決勝進出を果たしたこともあり、そうした「守備重視」の印象は薄れ始めている。ただ、現代でもFWの得点数が他のリーグより低く抑えられる傾向は残っている。

 

日本人選手

三浦知良、中田英寿、名波浩、中村俊輔、柳沢敦、小笠原満男、大黒将志、森本貴幸、本田圭佑といった名選手たちがかつてセリエAに在籍した。この中で活躍したと言えるのは中田英寿のみ。

本田圭佑はミランの10番を背負いながらも、結局最後まで期待に沿うほどの活躍をすることはできず、メキシコのパチューカへと移籍していった。

現在セリエAに在籍する長友佑都(インテル)は、ブラジルW杯までは不動のスタメンでファンからも愛され、それなりの活躍をしていた。2016/17シーズンからは試合への出場機会が減ってきている。

 

注目選手

2016/17シーズン、ナポリからユベントスに移籍したFWゴンサロ・イグアインがいる。イグアインは、ケガが多いために実力の割に評価されることの少なかったストライカーだが、2016年は継続的に試合に出場し、爆発的な結果を残した。FWの得点数が低く抑えられるセリエAにおいて、なんと2位の約2倍の30得点を挙げて得点王となり、ユベントスへと移籍した。ストライカーとしての能力は世界最高の一人と言っていいのではないだろうか。

 

 

四大リーグの今後の展望

イタリアセリエAがゆるやかに落ちていき、プレミアリーグもそれに続こうとしている。この流れは今後もしばらく続くだろう。プレミアリーグは世界銀行のバークレイズがスポンサーから降りることによる影響が不明な点が多いため、予測は難しい。

リーガ・エスパニョーラは、メッシとクリスチアーノ・ロナウドが活躍を続け、その活躍が次世代の最高の選手を呼び寄せ続ける限り、近い将来の数年は安泰だろう。リーガ・エスパニョーラは上位チームの圧倒的な強さの犠牲になっている下位チームの弱さと経営の不健全さが問題であり、これらの弱点が解消されない場合、5年~10年という中長期的スパンではここが弱点となって沈んでいく可能性はある。

最も健全な経営を行っているドイツ・ブンデスリーガは、長い目で見れば世界最高のリーグになっていくことは間違いなさそうだ。サッカーの熱心なファンが非常に多く、また国の経済力も強いドイツのブンデスリーガは2020年代以降の覇権を握っていることだろう。

これら四大リーグにくわえ、近年成長著しいのがフランスのリーグ・アンである。パリ・サンジェルマンが巨額の移籍金を支払ってバルセロナからネイマールを強奪したのは記憶に新しいが、このチームにはその他にもエムバペ、カバーニ、ディ・マリアといった超有名選手が数多く在籍する。また、オリンピック・マルセイユでは現在、日本代表の右サイドバック酒井宏樹が獅子奮迅の活躍を見せている。

 

 

チャンピオンズリーグ(欧州全域)

略称:CL(シーエル)

CLの仕組み

参加32チームを、4チームx8グループに分ける。グループごとに総当たり戦(グループリーグ)を行い、上位2チーム(8グループあるので合計16チーム)が決勝トーナメントに進む。この16チームでトーナメント戦を行って優勝チームを決める。

基本の仕組みはワールドカップと同じになっている。

出場クラブの決定方法

参加対象国は実に54カ国もあるようだが、実際に本戦に出場するのはスペイン・ドイツ・イングランドから4チーム、イタリア・ポルトガル・フランスから2~3チーム、ロシア・オランダから1~2チーム、ウクライナ・ベルギー・トルコ・ギリシャから1チーム、スイス・オーストリア・チェコ・ルーマニア・イスラエル・キプロス・デンマーク・クロアチア・ポーランド・ベラルーシ・スコットランド・スウェーデンから0~1チーム程度、あわせて32チーム。その他の国のチームは予選で敗退してしまって、本戦に出てくることはあまりない。これらの国別の出場枠数は、過去のCL・EL出場チームの成績によって決まるUEFAランキングのカントリーランキングによって決まっている。

また、こうして決まった各国のCL出場枠の中にどのクラブチームが入れるかは、前年の欧州各国の自国リーグの成績によって決まる。たとえば、2015/16シーズンのプレミアリーグの1位~4位はレスター、トッテナム・ホットスパー、マンチェスター・シティ、アーセナルとなっている。この場合、翌シーズンのイングランドからのCL出場チームはこれら4チームということになる。

このように、前シーズンの各国リーグのチャンピオンチーム達が集まって優勝を競う仕組みになっているため、「チャンピオンズ・リーグ」と呼ばれているのだ。

 

CLっていつの間にやってるの?

「CLに出てるチームって、自国のリーグ戦もあるのにいつの間にCLに出てるの?」と思う人も多いだろう。正解は「水曜日」。リーグ戦は基本的に土日に行われるので、リーグ戦とリーグ戦の合間の水曜日に試合を行うのだ。ただ、アウェーゲームのときはヨーロッパを股にかけてアウェーまで遠征をして試合をして、帰ったら週末には自国でリーグ戦という忙しすぎる日程になっている。

ちなみに、CLの試合自体は、グループリーグは2週間~3週間に1回のペースで行われる。

 

W杯より権威あるCL? 

W杯が圧倒的な人気を誇る日本にいては信じられないかもしれないが、欧州のサッカーシーンにはW杯よりもCLを優先して考える選手もいる。サミュエル・エトオなどは、代表戦に選出されて試合が増えてコンディションを落とすのが嫌で、一時期代表を引退していたほどだ。

もちろん、W杯で優勝するというのは、サッカー選手にとっては子どものころからの一番の夢に違いない。

しかし、クラブが金で選手をかき集めることが当たり前となっている現代においては、W杯決勝よりもCL決勝の方が純粋にサッカーとしてのレベルが高いのも事実である。CL決勝戦には、その年の最高の選手たちが出場し、1年間リーグ戦を戦って深まった戦術的連携を披露する。その年の世界の最先端のサッカーがそこにあるのだ。

W杯は夢の舞台。CLは最高峰の舞台。どちらが上、というのは人それぞれ違うが、こうした違いがあることは確かだ。

 

 

ヨーロッパリーグ(欧州全域)

ELは、CLの下位にあたる大会で、各国リーグからCLに出場できなかったチームのうち上位のチームが集まって争う大会。したがって、「EL優勝」と言われても、正直言ってどう捉えていいのかよく分からないという面がある。たとえば、EL優勝回数が最も多いのはスペインのセビージャで4回だが、そう言われても「えっすごいね…ん?すごいの?セビージャって強いの?弱いの?」と思ってしまうかもしれない(十分強いのだが)。

ELの結果を見て分かることの一つは、EL決勝にチームを送り込む国のリーグは中位層が厚いということだ。たとえば、ここ4年間でEL決勝に進んだ8チームのうち実に4チームをスペイン勢が占める一方で、ドイツブンデスリーガからは1チームもEL決勝には進んでいない。この結果から分かることは、スペインのリーガ・エスパニョーラは、バルセロナやレアル・マドリード、アトレティコ・マドリードといったCL常連勢だけでなく、その下の中位層グループもしっかりと実力を持っているということだ。一方、ブンデスリーガの中位層グループはEL決勝に進めるほどの力がなく、ブンデスリーガは中位層の実力がやや劣るということが分かる。