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詳細解説!英語発音ネイティブレベルまでの全ステップと上達のコツをまとめてみた

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英語初級者からネイティブレベルに至るまでの発音ロードマップを作ってみた。

たとえば、「リエゾン」はLEVEL 2~LEVEL6で習得するスキルだよってこと。LEVELの数字には深い意味はない。

 

 マークは、そのスキルができるようになり始めた段階を表す。「なんか、できた気がする?けど、めっちゃ変な筋肉使ってる…!?」という段階。

 マークは、そのスキルが完全に自分のものになっていて、ネイティブに近いレベルで何度でも再現できる段階を表す。

 

あなたがこのマップの中でどのレベルにいるかを知ることで、今のあなたがどの発音を重点的に磨けばいいか、またどの発音はまだできなくてもいいかといったことが分かる。

さて以下では、それぞれのスキルについて一つ一つ解説していく。

 

 

初級編(Level1~2)

/s/ vs. /ʃ/

ʃ←この記号自体は「エシュ」と読む。shの発音を表す記号。よく言われる"sit"と"shit"の違いがこれら2つの違いにあたる。

この違いが日本人にとって若干難しいのは、日本語の「さしすせそ」の中にsとshが混ざっているからだ。ヘボン式アルファベット表記を思い出せば、「さしすせそ」は"sa shi su se so"と書かれた。「し」だけ子音が"sh"なのだ。だから、どうしても日本人は"si"の発音を"shi"で代用してしまいがちになる。その結果、日本列島では"sit"を間違えて"shit"と言ってしまうという悲劇が頻繁に繰り返されている。

"sa si su se so"はひらがなで書けば「さ すぃ す せ そ」

"sha shi shu she sho"はひらがなで書けば「しゃ し しゅ しぇ しょ」

になる。これらの発音は日本人にとってそれほど難しいわけではないので、きちんと意識して練習していれば普通にできるようになるはずだ。

参考動画:English Pronunciation - S & SH - YouTube

 

 

/i/ vs. /i:/

それぞれ、いわゆる「イ」と「イー」の発音。"it"と"eat"の違い。

/i:/の中の、":"は長音を表す記号だ。ただし、これら2つの音の違いは長さだけではない(というか長さが違うのは副作用みたいなものだ)。英語では、2種類の母音が長さだけによって区別されることはない。なので、アメリカ人は「鳥」「通り」「鳥居」("tori"と"to-ri"と"tori-")の聞き取りに非常に苦労する。

/i/と/i:/の違いは、長さではなく音色の違いが重要だ。前者/i/は「イとエの中間音」とよく言われる音。/i/は日本人の耳には「イ」にも「エ」にも聞こえる。その中間の絶妙なポジションを狙って発音するのがポイントだ。

一方、/i:/は日本語の「イ」よりももっと口を横に開いた「おおげさなイ」という感じの音なのだが、「イー」と伸ばすつもりで言えば結構近い感じの音が出るので、こちらは/i/ほど難しくはない。

参考動画:FEEL vs FILL - YouTube

 

 

リエゾン

「リエゾン」はフランス語の用語なのだが、通りが良いのでここでも使った。

英語では、子音で終わる単語と母音で始まる単語が連続しているときに、それらが合体してあたかも一つの発音のようになる。

基本的には、全部発音記号で書いてつなげて読めばそれっぽくなる。

Bob ate an orange.

/bɑb eit ən ɑrɪnʤ/ 

/beitərɪnʤ/(ベイラリンヂ)(強く読む部分を太字にしたつもりだが、発音記号のフォントの関係で表示がおかしかったらごめんなさい)

本来、リエゾンというのは自然と起こる現象なのでそれほど大変ではない。子音で終わる単語を、ネイティブ感覚できっちりと子音で終わって発音できていれば、その後ろに母音が来たらその2つは勝手に繋がってしまうのだ。したがって、リエゾンを習得しようと思ったら、「子音で終わる」発音という基本スキルをしっかりと磨き上げることが大事。

 

 

中級編(Level3~4)

/ʌ/ vs. /æ/

cutとcatの違い。

/ʌ/は日本語の「ア」よりも暗い響きの音。/æ/は「アとエの中間音」と呼ばれる。これについては、ネイティブの発音を聞いてマネしてだんだんと近づけていって自分の中に感覚をゆっくりと作っていくしかない。参考動画を見て反復練習をしてみてほしい。

綺麗な女性&お上品な発音なので、練習用動画としてオススメ。

 

 

文中の強勢語

ある文を読むときに、どの単語を強く読むかの選択のこと。

短い文や構造が簡単な文、たとえば

I have a friend whose name is John.

といった文であれば、friendやname、あるいはJohnといった単語を、そのときそのときのニュアンスに応じて選んで強く読めばいいということでそれほど難しくないのだが、たとえば

The phonology of the low back vowels of the English language has undergone changes both overall and with regional variations, through Old and Middle English to the present.

英語における低母音の音韻体系は、古期・中期英語から現代英語を通じて、総体的かつ地域変種を含んだ変化を経験してきた。

Phonological history of English low back vowels - Wikipedia, the free encyclopedia

といった長い文では、文の構造にあわせて強勢を置く語を選択するのはけっこう難しいことだ。これは発音練習というよりも、瞬時に文構造を読み取る練習が必要になるので、多読が有効な練習法になる。

( ※引用文は長い文の例として持ってきただけです。)

 

/ɑ:r/ vs. /ə:r/

farとfurの違い。また、heartとhurtの違い。

/ɑ:r/の発音で読むスペルはarがほとんど。hard, card, smart, bar, hard, starなどなど。また、be動詞のareや、アルファベットのRは、発音記号で書くと/ɑ:r/だ。

一方、/ə:r/の発音になるスペルはer, ir, urの3種が基本。her, clerk, stir, sir, occur, disturbなどなど。

これら2つの発音ができるようになるためには、英語の子音のrの発音がしっかりと再現できる必要がある。英語のr音は、日本語のラ行の子音とは違って、ずっと出し続けることができる。たとえばs音であれば、"ssssssss..."と、ガスが抜ける音のように出し続けることができる。これを有声音にして、"zzzzzzz..."と、携帯のバイブのような音を出し続けることもできる。英語の子音のr音は、それらと同じように"rrrrrrrrr..."と、ずっと同じ音を保ったまま発音し続けることができるのだ。日本語のr音は、"rarararara..."と、母音を挟まないと連続で発音することができない。

少々前置きが長くなったが、この"rrrrrrrr..."が自由に再現できるようになれば、/ɑ:r/と/ə:r/の区別はすぐにできるようになる。まず、/ə:r/は実はさっきの"rrrrrrrr..."と全く同じ音だ。つまり、子音のrをずっと出し続ける"rrrrrr..."という音が、英語ではそのまま母音の/ə:r/として機能しているということだ。日本人の感覚からすれば少々不思議な話だけど、事実なのだ。続いて/ɑ:r/の発音は、この発音記号のとおり、/ɑ:/(fatherのaにあたる音)を発音し、その後ろにさっきの英語のrを自然に添えればOK。

説明が長くなってしまったが、参考動画を見て実践的に練習しながら読んでみてほしい。

 相変わらず発音が上品なおねえさん。

 

 

/s/ vs. /θ/ vs. /f/

/θ/はthの発音。この発音は、舌を上の前歯の先端に添えて発音する。初めはこの力加減が難しい。日本語をしゃべるときには経験しない舌の動きなので、初級者はこの動きをする筋肉が発達していない。だから、正しく舌を動かしていても、初めのうちはどうしてもぎこちなく感じてしまう。心配せずにやり続ければ筋肉が慣れて、自然とこの動きができるようになる。

ちなみに、舌を上下の歯で挟んで噛んでしまってもほぼ同じ音が出る。この方が簡単に同じ音が出るので、慣れないうちはこうやって出しても全然OK。sで代用してしまうよりも、絶対にこの方が良い。これを続けていると次第に筋肉が慣れて、上の前歯に舌を添えるだけの自然なthの発音ができるようになってくる。

 

ネイティブスピーカーはfの発音をするとき、下唇(の内側)を前歯の先端に自然に添えて発音する。でも、日本人にはこの「自然に」添えるという感覚が難しい。初心者のうちは、fもthと同じように、前歯でガッツリ下唇(の外側)を噛んでしまってもかまわない。初めは少し不自然な出し方でも、とにかくfの音に馴染むことが大事。そうするうちに、だんだんとネイティブのように、唇の内側に前歯を自然に添えるだけで同じ発音ができるようになる。最終的にはネイティブと同じやり方で発音できれば、動きが少なく省エネになるので、会話ではこの方がいい。

 

日本語話者はなかなか気付かないのだが、意外とthとfの音はかなり似ている。英語のネイティブスピーカーにとってみれば、sとthよりもthとfの方がだいぶ似ていて聞き間違えやすいようだ。なぜなら、どちらも歯先に柔らかいもの(舌先ならth、下唇ならfになる)を添えて出す音だからだ。thとfを似ていると感じ始めたら、かなりthやfの音に馴染んできた証拠といえる。

 

上級編(Level5~6)

/r/ vs. /l/

日本人の天敵、rとl。日本語のラ行音はどちらかというと、lに似ている。いま日本語のラ行音は変化してきていて、若い世代では日本語で「ラ」と言うと、半数近くがかなりlaに近い発音をする。また、l音は甘く優しい響きがするので、バラードではl音を多用する日本人歌手も多い。EXILEのATSUSHIが特にl音をよく使う。

l音は前歯の歯裏に舌先を付けて、舌の横にあいた隙間から声を漏らすようにして発音する音だ。日本語のラ行音のように舌を弾くわけではないので、l音は英語のr音と同じく、同じ音をずっと保って、子音だけで"llllllll..."と発音し続けることができる。逆に言えば、そうできないのなら間違った発音をしていることになる。

また、多くの英語学習者を悩ませる存在で、dark l(暗いl)という発音もある。音節末に現れるl音は、ふつうのl音とは違って、舌を前歯の裏に付けないで宙に浮かせた状態で発音する。この音節末のl音をdark lと呼ぶ。音節末というと分かりにくいと思うが、call、doll、small、tall、girl、peopleなどの語末のlや、false、filterといった、直後に子音が続くlのことだ。このdark lは、日本語の「ウ」に結構近い発音になる。下手に「ル」と言うくらいなら「ウ」で代用する方が近い音が出るのでオススメする。

 

 

/z/ vs. /dz/

とんでもない伏兵がいたもので、日本人にとってrとlよりも区別が難しいと思われる発音がコレ。普通の学習者は気付かないまま素通りする。この区別が存在することに気付いた時点で、めちゃくちゃ英語の発音に詳しいといっていい。

"cars"と"cards"(それぞれcarとcardの複数形)の違い。発音記号では前者は/kɑ:rz/、後者は/kɑ:rdz/と表記される。/z/は/s/の有声音、/dz/は/ts/の有声音だ。スに点々と、ツに点々の違いともいえるが、残念ながら日本語(のうちのほとんどの方言)ではズとヅは同じ発音なので、この表現は少々誤解を招きやすい。

/z/と/dz/の大きな違いの一つは、/z/は同じ音を保って発音し続けられるが、/dz/はそうできないということ。少し前のrの発音のところで出てきた、携帯のバイブのような"zzzzzz..."はずっと発音できるが、"dzdzdzdzdz..."は発音不可能で、発音しようとすると"dzudzudzudzudzu..."と母音を挟み込むしかない。

この二音は音声的にかなり近いため、もともと音に敏感な人でないとなかなか習得は難しい。

ちなみに/dz/は英語ではそれほど珍しい音ではないが、単語の基底形(辞書に載っている形)ではこの音はほぼ存在せず、複数、三人称単数現在、所有といった活用形でしか出てこない。cardsの他に、beds, goods, reminds, hides, Tod'sなどなど。

 

 

/ʒ/ vs. /ʤ/

先ほどの/z/と/dz/がズとヅの違いなら、/ʒ/と/ʤ/はそれぞれシュ、チュを舌の動きはそのままで有声音にするという意味で、ジュとヂュの違いといえる(残念ながら、ズとヅと同じくジュとヂュも日本語では同じ音になってしまうのだが)。Asianとagingの違い。

/ʤ/は英語でとてもよくある発音で、jやgの音は基本的にこの音になる。John, juice, July, age, magic, dungeon, orange, dodgeなどなど。

一方、/ʒ/は比較的珍しい発音で、-sureというスペルの語で出てくることが多い。measure, leisure, pleasureなど。Asianも。また、ごく一部のフランス語っぽい単語で、gがこの発音になる。rouge, garage /gərɑ:ʒ/など。garageには/gærɪʤ/というコテコテのアメリカっぽい読み方もあるが、どちらかというと/gərɑ:ʒ/のほうが一般的なように思う。

/ʒ/は/ʃ/の有声音、/ʤ/は/ʧ/の有声音。また、/ʒ/は"ʒʒʒʒʒʒʒ..."と発音し続けられるが、/ʤ/は舌を弾く音のため、発音し続けることができない。

 

 

ネイティブレベル(または奇人・変人の域)

文イントネーション

- My Fair Lady

文イントネーションとは、文全体に決まった音の高低パターンをつけることで、特別な意味を帯びさせる表現。というと難しそうだが、たとえば"You're coming."と"You're coming?"を文末の上げ下げだけで表現するのも文イントネーションの一種。文末の上げ下げという決まった音の高低パターンで、肯定や疑問の意味を文に帯びさせているからだ。(音韻論では「イントネーション」といえば文の話なので、わざわざ文イントネーションと言わなくてもいいのだが、日常的には「イントネーション」という言葉は語の「アクセント」と混同されがちなので、区別するためにあえてここでは文イントネーションと読んでいる)

 

肯定文と疑問文の文イントネーションくらいなら簡単なのだが、英語には変な文イントネーションがいっぱいある。この記事で詳細に扱うには荷が重すぎるので、いくつか軽く紹介するだけにとどめる。

"surprise-redundancy"と呼ばれる強い驚きを示す文イントネーションがある。たとえば、"The blackboard is painted orange!"「黒板がオレンジに塗られているだと?!」といった文で、Theをとても高く、blackboardはとても低く、文末にかけて上げていってorangeをとても高く言うことで、強い驚きを表す。

他にも"contradiction contour"と呼ばれる、強い反論を示す文イントネーションなどがある。これらは習得はかなり難しいが、できればいかにもネイティブスピーカーらしい豊かな表現になる。とてもレベルの高い専門書になってしまうが、気になる方は参考にどうぞ:The Music of Everyday Speech: Prosody and Discourse Analysis

 

 


いかがでしたか?

自分の感覚では、Level 1は初級者。Level 3で中級者、Level 5で上級者、Level 7~8は幼い頃英語圏に1~2年住んでいたことがあるレベルといった感じ。

また、発音の教材としてイチオシの英語耳Mastering the American Accentは、それぞれ英語耳がLevel 1からLevel 5くらいまで、Mastering the American AccentはLevel 8くらいまでの内容になっている。

これほどの長文をここまで読んでくださった方にはぜひ、自分がどのレベルだったかだけでもコメントに残してくださると大変うれしいです。